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コラム

 

「マーケットイン」から「ハートシェア」へ
事業は「プロダクトアウト型」から「マーケットイン型」、そして「ハートシェア型」へと進化しています。保育サービス業はハートシェア型を目指さなければなりません。
一般消費社会において、1990年以前は機能や製品そのもの、基本機能が重要な時代でした。しかし、1990年以降、特に2000年代に入り、費者志向(満足・優位性・差別化)が強くなったのです。これをマーケティング用語では「マーケットイン」と呼びます。
さらに2000年後半から現在にかけては、精神価値(ミッション・ストーリー・独自性・社会貢献)という「ハートシェア」の時代へと変わりました。2011年以降は「神」というキーワードが影響を持ち始め、今はさらに「心のマーケティング」が重要に。保育サービス業界は一般流通業から約30年遅れていると捉えています。類似産業としては介護業界が挙げられますが、介護保険がスタートしたのが2000年で、子ども子育て支援新制度がスタートしたのが2015年ですから、約15年遅れていると仮定できます。 現在の介護業界を見ると、確かに保育サービス業界と比較して業態の数も多く、多種多様な企業の参入も多いことから様々なアイディアが生まれていることがよくわかります。
ライフサイクル理論で考えてみると、保育サービス業界は戦後まもなくスタートした業界で史が長く、見通用や安定期に思われるのですが、国の認可事業であり助成金ベースの事業構造であることと、非生涯客構造(一人の利用者が生涯に利用するのはせいぜい5~10年でその後は利用しなくなる構造)により経営が育ちにくいため、ライフサイクル理論が当てはまらない、非常に特殊な業界なのです。
しかし、今後は異なります。明確に競争原理が働くのは間違いありません。そうなれば需要が供給を上回ることからも「成熟期~安定期」の経営の考え方が重要になるのです。ましてや決済権者は時流やトレンドに最もシビアな20~40代の母親層です。そう考えた際に、前述したマーケットインだけでなく、時代の先端を行く「ハートシェアの発想」が求められるのです。
具体的には、保育理念や教育理念への共感の度合いが経営を左右し、その共感の広がりがプロモーションの最重要テーマになるのです。そこにはストーリーが必要であり、まさに「心」がこもっているか、本気で目指しているものか、という想いによって差が生まれます。