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コラム
第3章 子ども・子育て支援新制度による近未来予測
地域格差と需給バランス
子ども・子育て支援新制度によって、保育の供給量は飛躍的に増えましたが、いびつな構造も生まれつつあり、その中で気がかりなのが「地域格差」と「需給バランス」です。
今後保育ニーズは高まるものの、保育所利用者数は大幅に減少する可能性があります。人口問題研究所及び国民生活基礎調査から船井総合研究所が独自に算出した結果によると、二〇〇五年と二〇二〇年(推測)の年少人口(○~一四歳)の比較で、減少率の低い都道府県は東京都(八六%)、沖縄県(八四%)、滋賀県(八一%)、愛知県(七九%)、 京都府(七九%)となっており、一方で減少率の高い都道府県は北海道(六九%)、奈良県(六九%)、秋田県(六六%)、青森県(六五%)、和歌山県(六四%) 市場規模については、今後の市場規模について考える際には、前提として少子化による対象人口の減少が想定されます。
減少率が二二%も異なるのです。特に人口減少が著しい地域では、現在でも地域格差は広がる一方です。少子化の状況も地域によって大きな開きがあるのです。さらに、現在待機児童の八〇%は政令指定都市や中核市などの大都市に集中しているため、そのような地域は新制度が始まっても保育供給の必要性が低いと見なされ、進まない可能性もあり、一方で東京都のように人口も増加し、待機児童の多い地域は必要性が高まり、供給がさらに増えると考えられます。
人口問題研究所の調査では、保育所の対象となる人口(0~5歳)における二〇一〇年と二〇一八年の対比が八八%となっているため、二〇一〇年段階で六三五万人いた人口が五六〇万人となり、これによって利用者数も減少することが予想されます。
しかし、先に述べた待機児童及び潜在待機児童が入所できることがプラスの要素として大きく影響し、さらに認定こども園、幼稚園などの垣根がなくなり、市場が複合することで確実に市場は現状よりも拡大することでしょう。一方、同一の事業者が増えることで一施設当たりの利用者数は減少することも想定しておかなければなりません。